からの抜粋
二つめは、優れた判断には情報の節約が欠かせないということだ。ジョン・ゴッドマンは複雑な問題をごく簡単な要素に切り詰めて、ひどく複雑な夫婦間の問題にも明確で基本的なパターンがあることを示してみせた。リー・ゴールドマンの研究を見ると、このようなパターンを拾う際、情報は少ないほうがうまくいくことがわかる。判断する人に情報を与えすぎるとサインを拾いにくくなることを彼は証明してみせた。正しい判断を下すには情報の編集が必要なのだ。
(中略)
スピードデートの実験をしたシーナ・アイアンガーのことを思い出してほしい。彼女はほかにも実験をした。カリフォルニア州メンロ・パークにある高級食料品店に、珍しいジャムをいろいろと試食できるコーナーを設けた。そこに置くジャムは六種類にしたり、二十四種類にしたりした。選択肢が多いほうが客が商品を買う確率は高くなると言われている。好みにあるジャムを見つけやすいからだ。
だが結果はその反対だった。選択肢が六種類のときコーナーに立ち寄った客の三十%がジャムを買った。一方、種類が多いときにジャムを買った客は三%だった。なぜだろう?ジャムを買うかどうかは瞬間的に判断するからだ。私たちは直感的にこのジャムが欲しいと思う。選択肢が多すぎると、無意識の処理能力を超えて、麻痺してしまうのだ。瞬時の判断を瞬時に下せるのは、情報が少ないからだ。瞬時の判断を邪魔したくなければ、情報を減らすことだ。
